前回の失敗を解決したM-Vロケットは、新たな衛星を運ぶ為に、再度旅立つ。
2003年5月9日、小惑星探査機 [工学実験探査機]「はやぶさ」(MUSES-C)を載せてM-V 5号機が、出発。
この成功により、M-Vロケットは復活。
2005年7月10日には、X線天文衛星「すざく」(ASTRO-EII)を載せて、M-V 6号機が出発。
翌年の2006年2月22日には、赤外線天文衛星星「あかり」(ASTRO-F)を載せて、M-V 8号機が出発。
順調に飛び出していくM-Vロケットに、ここで、改めて費用の壁が重くのしかかってくる。
M-Vロケットの部品、回路の改善で、数十億円の経費削減になる"改良案"が出るが、却下。
H-IIAの補助ブースター(SRB)を使用した、固体燃料+液体燃料の、もっと小型で、H-IIAとも部品や構造を共有出来る"開発案"が採用された。
2006年9月22日、太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)を載せたM-V 7号機が、最後のM-Vロケットとなった。
データ上も、誰から見ても、完璧な打ち上げだった。
固体燃料だけのロケットは、ここで潰える運命に局面している。
大きな花火が打ち上がるようなものなので、勢いが素晴らしい。そして、斜めに発射する為、支えるランチャーも、今は液体燃料を使用するロケットが多いので珍しい。
固体燃料のロケットが一番では無いが、それならではのいい面があるのは、もちろんの事。
それを維持して、形を作り上げ、完璧に仕上げてきたロケットがある事は、絶対に忘れてはいけない。